嶺北地域の避難者を乗せたバスの除染などを行う自衛隊員=8月31日、福井県鯖江市宮前2丁目

 関西電力美浜原発(福井県美浜町)の事故を想定した福井県の原子力総合防災訓練の2日目が8月31日、7市町の住民約7千人が参加して行われた。美浜原発からおおむね30キロ圏内(UPZ)となる同県越前市、南越前町、越前町の嶺北地域住民が初めて参加。3市町の計290人を含む計1039人が、バスやマイカーなどで決められた県内外の避難先へ移動した。嶺南地域の半島部では大型ヘリや船舶などを使い、住民の移動手順を確かめた。

⇒嶺北住民避難、大渋滞への不安

 若狭湾を震源とする地震で運転中の美浜3号機の全電源が喪失。原子炉の冷却ができなくなり、放射性物質が放出されたとの想定で行った。

 嶺北3市町の住民は、バスやマイカーで除染場所のサンドーム福井へ向かい、検査後に福井、あわら、坂井市などの避難先に移動した。兵庫県に避難する小浜市と若狭町の住民は除染場所のうみんぴあ大飯を経由した。約6千人は自宅などに屋内退避した。

 美浜原発から約15キロの若狭町神子や敦賀市立石など半島部の住民は、道路が寸断したとの想定で孤立を防ぐため、陸上自衛隊の大型ヘリや海上保安庁の船舶に乗り込むなど陸海空で避難した。

 また、美浜原発の作業員1人が負傷したとして、原子力災害拠点病院の福井赤十字病院(福井市)にヘリで搬送し処置する訓練も実施した。

 杉本達治知事は訓練後の講評で「一つ一つの課題を解決するための訓練だった。今回の反省を生かし避難計画などを改訂する。国が策定する広域避難計画にも生かしてほしい」と語った。

⇒避難経路情報、住民向けサイトの成果

 美浜原発の広域避難計画は、国と福井県のほか岐阜、滋賀両県などとつくる「福井エリア地域原子力防災協議会美浜分科会作業部会」で2018年12月から策定を進めている。

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