2017年10月に上演した「ライトな兄弟」で、ダンスを踊る藤田善宏さん=神奈川県横浜市の関内ホール(松本和幸さん撮影)

 福井国体開会式の式典演技を振り付け監修し、2千人の「はぴねすダンス」を成功に導いた福井県福井市出身の藤田善宏さん。コンテンポラリーダンス界をリードする「コンドルズ」でメインダンサーを張る傍ら、近年は自らのプロデュースユニットで「ノンバーバルストーリーダンス」(台詞のない物語)という領域を開拓しつつある。その現在地を示す昨年度文化庁芸術祭賞新人賞受賞作「ライトな兄弟」が来年3月9、10日、福井県県民ホール(福井市)に凱旋する。有志による福井公演実行委員会が準備を進めており、11月20日には福井新聞社などによるクラウドファンディングサービス「ミラカナ」で資金募集を始めた。

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 藤田さんがそのときやりたいことを、やりたい相手と具現化するための可変プロデュースユニット「CAT―A―TAC」。「ライトな兄弟」はその活動の一環として、タップダンサー村田正樹さんと結成した「ニヴァンテ」が作、演出、振り付けし、ドラマーや俳優など異分野のパフォーマーと作り上げた総勢8人のコラボステージだ。

 主人公はライト兄弟に憧れる架空の兄弟。父親が遺産として残した設計図を見て、飛行機作りに挑む。ひたむきな2人の元には個性豊かな仲間たちが集まり、次々と押し寄せる困難に立ち向かいながら夢の実現を目指す。

 せりふは最小限にとどめ、身体表現とダンスで奏でるパフォーマンス。カラーブロックやそろばんなど身近な小道具を駆使し、歌舞伎や落語などで用いられてきた「見立て」の技法も取り入れることで見る人の想像力をかきたてる。昨年10月に文化庁芸術祭参加作品として神奈川県横浜市で上演し「アイデアの柔軟さと多彩さに将来性を感じさせた」と高く評価された。藤田さんは「コンテンポラリーダンスの体の使い方を軸に、演劇やリズムの要素を盛り込んだ全く新しいエンターテイメント作品。子どもからお年寄りまで3世代が楽しめる。自分が一から手掛けた作品の凱旋は初めてで、ようやく故郷に錦を飾れる思い」と意気込む。

 福井公演は、国体を契機に藤田さんの受賞作を広く県民に見てもらいたいというダンス関係者や藤田さんの同級生、地元のアートファンら有志でつくる実行委の強い思いで企画。ただ収支的に厳しく、公演開催のアピールも兼ねてクラウドファンディングに挑むことにした。

 ミラカナでの目標支援額は80万円で期間は37日間。支援者にはバックヤードツアーやサイン入りTシャツ、優先観覧席などのリターン(返礼)を用意する。

 福井公演は3月9日午後6時からと、10日午後2時からの2回。チケットは大人3千円、中高生2千円、小学生以下千円(4歳以上)、12月16日にサンドーム福井で開かれる国体感謝イベント「はぴりゅうフェスタ」で限定先行販売する。問い合わせはカウベル・コーポレーション=電話0776(25)0563。

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