ここ半年ほどの間でコップやスマートフォンなどの物をよく落とすようになりました。たまに指先がしびれることがあり、肩こりもひどいです。日常生活に支障があるほどではありませんが、脳などに疾患が隠れていないか心配です。どの診療科にかかり、どういった検査を受けるとよいかアドバイスお願いします。(福井市、40代前半女性)

 【お答えします】早瀬史子・福井赤十字病院神経内科医師

 ■病状、部位で検査方法さまざま

 持っている物を落としてしまうというのは、ついうっかりということも考えられますが、回数が増えてきてご心配されているとお察しします。

 半年前からとのことですので、急に起こる症状ではなく、一時的に起こる手の脱力やしびれ感を感じる病気を考えてみると、手根管症候群、頚椎症性神経根症、椎間板ヘルニア、胸郭出口症候群などが挙げられます。

 手根管症候群は、手の正中神経が手首の所で圧迫されて起こる病気です。▽以前に比べると握力が弱い▽小さな物をつまみにくい▽ボタンをかけにくい▽親指、人さし指、中指がしびれる−などの症状がゆっくり出現してきた場合に、手根管症候群が見つかることがあり、特に重い物を持ったり、手首を曲げたり負担がかかる仕事の人に多くみられます。診察所見と神経伝導検査から診断します。

 頚、肩、腕のしびれや痛み、肩こりや脱力が起こる場合は、頚椎症性神経根症、椎間板ヘルニアや胸郭出口症候群などが考えられます。頚椎症性神経根症、椎間板ヘルニアは、頚椎・椎間板の加齢性変化、胸郭出口症候群は鎖骨や筋肉による神経、血管圧迫により起こります。

 傷んでいる神経の範囲にしびれや痛みがあり、後ろを振り返る動作時や腕を上げている時に症状が出てくるようであれば、頚椎疾患や胸郭出口症候群の検査をしてみるとよいと思います。頚椎レントゲンやMRI等を行います。

 ■不随意運動の可能性も

 そのほか、まれな病気として、意志に反して勝手に手がピクッと動いている状態であれば、不随意運動の可能性もあります。診察時に見られないことが多いため、症状が出た時に録画して持参してください。検査は頭部CT、MRIや脳波などを行います。

 もう少し詳しく話を聞いたり、診察することでその病気が疑わしいかどうか判断できると思います。神経内科では脳、脊髄を含む中枢神経から末梢(まっしょう)神経の疾患まで診療しています。心配であれば相談してください。

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