男子選手との稽古に励む柔道女子の山本沙羅=大阪府の大阪体育大学

 5人の団体戦で争う柔道は、最後に登場する大将(無差別級)に重圧がのし掛かる。力の差が拮抗して試合がもつれた場合、大将戦の結果がチームの勝敗に直結するからだ。今年2月、チームふくいに加わった柔道女子無差別級の山本沙羅(福井県スポーツ協会)は「プレッシャーは半端ないが、ベストを尽くすだけ」と闘志を燃やす。

 女子の重量級には珍しく筋肉質で均整の取れた体形で、長い手足を生かしたダイナミックな柔道が持ち味。大外刈りと内股を得意とし「しつこく技を仕掛ける」。金本良克監督(39)は「勝ってくれるものと計算している。チームの精神的な支えとしても期待したい」と全幅の信頼を寄せる。

 競技人生の始まりは小学3年生。足を運んだ柔道教室で「すごく楽しそう」と一目ぼれした。才能が花開いたのは大学に進んでから。強化指定選手となり、3年時にインカレで優勝。福井県連盟関係者から熱心なラブコールが届き始めたのはこの頃だった。

 卒業後、福井県内で教職に就く道もあったが、充実した練習環境を求め東京へ。しかし、生活の変化やハードな稽古、けがもあり「いっぱいいっぱいになってしまった」。そんな時、福井のことが頭に浮かんだ。「せっかく私に声を掛けてくれた。福井のために絶対頑張らないと」

 福井県スポーツ協会所属となり、トレーニングや男子選手との稽古に打ち込む毎日。県代表として戦った4月の全日本選抜は3位で、日本代表としてジャカルタ・アジア大会(8~9月)の混合団体戦にも臨む。「応援してくれる人に勇気や感動を与えたい。福井の人に恩返ししたい」と10月の国体本番を見据えた。

 ■山本沙羅(やまもと・さら)和歌山県出身。和歌山商高から大阪体育大へ進み、3年時にユニバーシアード3位、インカレ優勝。ミキハウスを経て今年2月、福井県スポーツ協会の選手兼特別強化コーチ。身長180センチ。体重96キロ。階級は無差別級など。23歳。

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