国内最高峰リーグWJBL(バスケットボール女子日本リーグ)で8年間活躍した出岐奏(福井県スポーツ協会)。そのキャリアに加え、フォワード(FW)としてのシュート力、ドライブ力、パス力はチームで群を抜く。「言葉で伝えるのは苦手。プレーや練習の姿勢など、私の背中を見て学んでほしい」と若い成年女子チームを引っ張る。
2017年3月にWJBLの選手を引退した。約2カ月後、親交のあった人から福井チームへの参加を打診された。「数回断った」が、WJBL時代の所属チームでヘッドコーチだった荒順一さんが福井のスーパーアドバイザーに就任したことを知り、縁を感じた。「荒さんのバスケができる。引退した私を必要としてくれるなら」と引き受けることを決心した。
荒さんは「私の戦法は個人技でなく、チームプレーを徹底するコンビネーションバスケ。戦法を熟知している出岐がいるのは心強い」と教え子の活躍に期待を寄せる。
結果が全て、と誰よりも分かっている。「チームが勝つために、自分ができる役割は何でもする。結果は出したい」と出岐。残り時間がゼロになるまであきらめない。約20年間、続けてきた姿勢を貫くつもりだ。
福井国体を最後に、完全引退することを決めている。バスケ人生の集大成となる「福井国体を楽しむ」。柔和な表情の合間に見せた鋭い眼光に決意がみえた。
■出岐奏(でき・かなで) 長崎県出身。純心女子高から鹿屋体育大に進み、1年の時にインカレ準優勝。日本航空に入社したが廃部に伴い、チーム譲渡先の新潟アルビレックスBBラビッツに移籍。2016年WJBLオールスターMVP。17年秋から福井県スポーツ協会所属。170センチ、56キロ。32歳。