福井国体ソフトボール少年男子準々決勝でサヨナラ勝ちを収め、喜ぶ啓新高校単独チームの福井。強化のノウハウが、ポスト国体世代に引き継がれる=10月2日、福井県の福井市きららパーク

 福井しあわせ元気国体で50年ぶりの天皇杯獲得(男女総合優勝)と初の皇后杯獲得(女子総合優勝)を果たした福井県。高校生を中心とした少年種別が躍進し、「チームふくい」を勢いづけた。福井県選手団総監督を務めた県スポーツ協会の丹羽治夫専務理事は「少年の活躍は予想以上」と手放しでたたえた。

 ■前年の2倍の得点

 今大会、少年種別が獲得した競技得点は約850点。昨年の愛媛国体(437・5点)の2倍近くに達し、天皇杯獲得の大きな要因となった。

 少年の大半はジュニアアスリート強化指定の選手たち。小中学生時代から「福井国体世代」として集中的に鍛え上げられ、着実に成果を残してきた。

 開会式前の自転車競技で市田龍生都選手(科学技術高校)が2冠に輝くと、なぎなたの羽水高校勢も2種目を制覇。ソフトボールの啓新高校やボートの美方高校勢など、全国高校総体(インターハイ)で王者になり、国体でも頂点に立つケースが目立った。地元の大声援を受けて、国体世代が力を発揮した。

 ■体感したノウハウ

 高校3年生の多くは、福井国体で部活を引退する。来年以降の「ポスト国体世代」の強化について、丹羽専務理事は「国体を目標としたような集中強化は難しいが、成功体験はできた」と指摘、強化の手法や大会への臨み方など、好成績につなげるための具体的なノウハウが得られた点を強みに挙げる。選手は卒業しても、「どの競技も、どうすれば強くなるかは実感できた」として育成に生かしたい考えだ。

 3年生の活躍が、2年生以下の刺激になった点も収穫となる。「先輩に続きたい」。なぎなたで演技と試合の2冠を獲得した羽水高校なぎなた部の阿波賀優衣主将(2年)と中嶋澄花副主将(同)は口をそろえる。強化指定選手の中嶋副主将は「切っ先から先輩の気持ちが伝わった。私もああいうふうになりたい」と決意を示す。阿波賀主将は「3年生が築いたものを受け継ぐとともに、自分たちらしく部活や福井のなぎなたを盛り上げたい」と明確な目標を掲げる。

 ■「世界のプレー」刺激に

 生で見たトップアスリートのプレーもジュニア世代に希望を与えた。バドミントンの山口茜選手(勝山高校出身、再春館製薬所)の試合を観戦した勝山北部中2年の女子生徒は「山口選手みたいに世界で活躍して地域の人を勇気づけたい」と話した。国体で得た強化のノウハウを、モチベーションの高いジュニア選手に注入できれば、期待は高まる。

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 国体・障スポの地元開催から見えてきた成果や課題を振り返り、築いた遺産をどう生かしていくのかを考える連載「つなぐレガシー」。続きは福井新聞D刊でお読みください。

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