教員の働き方改革の具体策と年間削減可能時間の例

 教員の残業時間を原則月45時間までとした中教審の指針案に12月6日、福井県内の教育委員会や現場の教員からは「国からの業務が減らないと実現は不可能」と疑問視する意見が聞かれた。変形労働時間制は「勤務にメリハリがつく」と評価する声の一方、「長時間労働の許容につながる」との指摘も出た。

 県教委の調査によると、今年9月の残業時間が80時間を超えた県内公立校の教員は中学校で26・8%、高校で24・8%と4分の1に上る。それでも前年同期に比べそれぞれ11・8ポイント、6・1ポイント減っており、県教育庁の巣守俊彦・学校振興課長は「少しずつだが状況は改善しており、国の指針を踏まえ今後も業務改善に努めたい」と話す。

 一方で「指針案からは、土日の部活動など休日出勤分を残業時間に含むかが読み取れない」と指摘。県教委の調査は残業時間に休日出勤分を含めており「仮に月45時間に休日出勤分が含むとなれば、部活動だけで上限を超えてしまいかねない」とする。

 多忙化解消に向けた行動計画の作成を独自に進めている福井市教委の小林真由美・学校教育課長は「国が決めている業務は子どもに直接の益がない研修や調査も多い。国が業務を減らさずに残業時間の上限だけを決められても実現は不可能」と話す。現場の教員からも同様の意見が上がっているとし、教員配置の充実も求めた。

 答申素案で盛り込まれた変形労働時間制は、県内では国立の福井大附属義務教育学校が10年以上前に導入。後期課程(中学校)では体育祭前や教育実習中など多忙期は勤務を午後7時前までとする一方、夏休み中は午前中までとしており、現場の教員からは「平日の部活動の時間が勤務時間扱いになる」「夏休みは年休を使わなくても早く帰れる」と評価する声が聞かれる。

 一方で育児や介護を抱える教員への適用をどうするかなど中教審部会内でも慎重な意見がある。6日の県議会一般質問では佐藤正雄議員(共産党)が「時間外労働を容認、拡大することになりかねず大問題だ」と指摘し、公立校では導入しないよう求めた。

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